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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

内反捻挫・診断           
 

整形外科的治療

 足関節捻挫は靱帯損傷のない症例(単なる捻挫)と、靱帯損傷を認める症例(靱帯が伸びたり断裂した症例)と、小さな骨片を認める症例(剥離骨折)とに分かれる。さらに靱帯損傷では脛腓靱帯損傷と外側側副靱帯損傷と内側側副靱帯損傷とに分かれる。多くは内反が強制されて起こる外側側副靱帯損傷の症例である。また、剥離骨折を認める症例の大半は足関節外果剥離骨折である。

*内反捻挫重症度分類(De Palma







・軽 症(T度):靱帯の瞬間的な伸張

・中等度(U度):靱帯の部分断裂

・重 症(V度):靱帯の完全断裂

 

1.診断

 症状は足首の痛みや腫れ、皮下出血、足部の不安定性、歩行障害である。診断は問診や診察所見にて容易だが、確定診断にはレントゲン検査が不可欠である。レントゲン検査は2方向撮影(前後像・側面像)を行い、骨折の有無を確認する。さらに、受傷機転(怪我をしたときの足首の状態)を再現するストレスレントゲン撮影を行い、靱帯損傷の有無や損傷の程度を把握する。ストレスレントゲン撮影にて軽微な剥離骨折が発見される事もある。したがって、足首を捻挫して受信された場合は、常に靱帯損傷や剥離骨折を念頭におき、必ず3方向撮影(前後・側面像、ストレスレントゲン像)を行うことが重要である。






足関節捻挫の診断で最も困る事・・・??

→過去の捻挫において靱帯損傷や剥離骨折が存在していたにもかかわらず、当時、「単なる捻挫」として取り扱われた症例である。この様な症例が再び捻挫すると、新鮮例(今回の捻挫で起きた損傷)なのか、陳旧例(過去の捻挫で起きた損傷)なのかの判断に困惑する。
このような場合は足部の腫れや不安定性などの所見を重要視し(グラグラする割りに腫れが少ない場合は陳旧例と考える)、さらに、レントゲン所見で変形性足関節症の有無を検討して新鮮例か陳旧例かを判断する。また、剥離骨片を認める症例は骨片の形状で判断する(骨片の辺縁が滑らかな症例は陳旧例と判断する)。